池の鯉

いま大学には人が居ないのだけれど、研究のために許可をとって理工学部棟に行く。
お昼休みには昼食を取るのだけれど、少し時間があると散歩することにしている。最近は大学に入れる特権を少しだけ散歩の為に使わせてもらっている。

私の大学には大きな池があって、おっきい鯉がたくさんいる。彼らは上品というよりもたくましい方で、少し近寄ると近づいてきてエサをねだってくる。

パンのかけらを投げてみると1,2匹しか食べることができないのに20匹も30匹も群がってきて、一時の興奮のときがすぎると次のパンを待っている。

私は例えば、新宿南口の歩道橋からお金をばら撒いたら人間もこうなるのだろうかと考えた。するとたちまち気持ち悪いのは鯉ではなくて人間なのではないのかという気がして気持ち悪くなった。

だけどおもいなおした。多分人間は鯉みたいな人も居るけれど、そうじゃない人も居る。また、もっと酷いのもいるだろう。鯉はおんなじなのに人間は多分ちょっとちがうのだ。

歩きながら、人間のことを考えた。多分、鯉よりももっと気持ち悪く群がる人も、無視する人も、怖がって近寄らない人も、迷惑をかけたと怒る人も居るだろうな。お金を返したいという人もいるかもしれない。

それが全部人間に詰まってるんだ。

そう思うと、頭の後ろがジンとして、歩き始めた足を止めてもう少し考えた。

いつも僕に怒っているあの人も、いつもいじわるをしてくる人も、権力やお金を自分の物だと勘違いする人も、みんな良い所のある人なんだ。全部が詰まっている人間を鯉の様に思ってしまっている方が気持ち悪かった。

鯉にはいつもパンを食べてもらっているけど、今日はパンのお返しをもらった気分でした。

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