小さい頃

最近、小さい頃を思い出す。

夏の日、暑い日。
家には昼寝している母と機嫌の悪い父しかいなくて僕は外に出た。
汗がたくさん出てぼたぼた落ちたけどサラサラしていて、自転車でも乗ればシャツもすぐに乾いた。
空は青くて、高くて、遠くの入道雲が大きかった。
多分、抜けるような空ってあの頃の空だ。
友達の家をリレーして頭がすごく暑かったけど、母がもたせた麦わら帽子はすぐに何処かに行った。

おおよそ、25年前のあの頃、毎日同じことをして過ごした。
近所のおばさんが庭になったいちじくをくれて友だちと食べた。
お母さんが麦茶を出してくれて、みんなで飲んだ。

あの頃の友達はみんな笑ってる。

あの頃の自分が、ずっと自分を見てて今が楽しいかどうか尋ねてくる。
悔しいけど全然勝ててない。

笑ってこっちにおいでって言ってあげれない。
父が不機嫌なのはそういうことだったのかもしれない。

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