父の腎臓が悪い

ここ数年で父が腎臓を悪くした。それでも平均より少し悪いというぐらいの数値だったのだが、この間の定期検査でガクッと下がったようだ。

父はおそらく慢性腎臓病だ。なぜ”おそらく”なのか、それは父が話すたびに「腎臓慢性症」だったり、「慢性炎」だったりコロコロ変わるからだ。父は学がない。学歴は中卒だが、中学校にはロクに通わなかったそうだ。そんなわけで、父は腎臓の検査結果に対していちいち僕に電話をかけてくる。僕は酒や煙草、コーヒーは避けて、十分な水分と減塩に努めてとお願いしてきたが、父はそれを真に受けずにどうやら水分不足で数値を悪くしてしまったらしい。医者もそんな父に通り一遍の対応をしていたそうだが、ついに病内の栄養士に相談することを勧めてきた。

きっと父は父のペースで話を進めたに違いない。父は自分の仕事の書類を役所に渡すような感覚でコミュニケーションを取ったのだろうか、僕が「水は一日何リットル取るの?」と聞くと、父は聞くのを忘れたという。いつもより多く飲めばいいという認識らしい。僕は父に「多く取っても少なく取ってもいけない。一応の目安を栄養士に聞いて自分の健康と相談して増やしたり、減らしたりしないといけない。父が自分で管理しなくてはいけない」と言うと、父は「わからない」とだけ言った。

父は二度結婚をしている。姉と兄が生まれてからは一生懸命仕事をした。私達兄弟を大学に入れてくれた。学はないが、心得のある人間である。でもそんな父が最近はトラブルが多い。母も年を取り、両親はいつの間にか少しわがままになってきているようだ。腎臓の検査結果が出る一月前には夫婦喧嘩をした。亭主関白だった父が母に参りきって僕に実家に帰ってきてくれと言う。姉と三人ぐらしの父は女ばかりで辛いのかもしれない。あんなに怖かった父は少し弱ってきている。

夫婦喧嘩の際、母に一週間ほど東京に遊びに来てはどうかと切り出すと母は少し憤慨したのかもしれない。

年の離れた兄と姉は両親の近くに住んでいる。僕は少し羨ましい。ここ12年は1年に一度ぐらいに両親と会うだけだ。離れて暮らしている僕に一体何ができるんだろうか、いつの間にか年をとってしまった。父の腎臓はうまく持ってあと十年だと言う。十年立つと80歳が目前になる。80で透析治療を受けるのだろうか、早くちゃんとしなければと思う。

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