雪をみた

雪を見るといつも不思議だなって思う。

僕は岡山で育ったので、身近に雪がなかったからかもしれない。
雪はなんで街を真っ白にするのだろう。あんなにゆっくりふわふわと落ちてくるのにすぐ何でも全てを真っ白にする。
どんなに洗濯や掃除をしても落ちない汚れや痕跡も全て真っ白にして文明も機能しなくなる。
そのくせ、楽しいときはすぐに溶けてしまっていつまでもグチャグチャ日陰に残っているのだ。
あんなに幻想的で、嫌われていて、好かれている存在はないんじゃないだろうか?

小さい頃は、不思議で珍しくて楽しかった雪の結晶は年齢とともにかすれてなくなっていく。

今は初雪の日だけ心が子供の頃に戻って「ああ、不思議だなあ」って思う。

そして嫌になって、忘れて、また子供に戻れる一瞬を毎年待っている。

去年の19日から福島県に免許合宿に来ている。
僕の運転センスは人並みに下手で頑張ればなんとかついていけるレベルで、絶望的にセンスが無いわけではなって感じだ。そういえば自転車に乗るのにも時間がかかった気がしている。僕は物を暗記したり、新しいことを始めるときには人よりも時間がかかることを思い出した。物事が僕の中に腑に落ちてきちんと仕舞うところが見つかるまでに時間がかかるのだ。ぼんやりと靄のかかった頭で免許の合宿に来て今はクリアになってきている気がしている。
あと3日で卒業できるかもしれないらしい。
そういえば博士課程も9年かかったし、なにかを修めるにあたって誤魔化したりできない性格なのだと思う。

振り返って、自分のことをとても不思議だなあって思う。

今存在していて、こうしてノートパソコンを見つめて文字を追いながらタイプしている自分が不思議だなあって思う。

明日は高速道路の教習なのに明日のことはなにも考えずに雪を見つめながら不思議だなあって思っている。

そういえば、僕の情熱の素は「不思議だなあ」から始まっていた。不思議と思うことは素敵で興味深くて美しい。

雪の一粒一粒を空から拾ってきてポケットに入れておけないみたいに「不思議だなあ」って気持ちもいつもあるのにポケットに入れるみたいにして持っていることはできない。

常に、「不思議だなあ」って思わなきゃ忘れてしまう。

自分を忘れないために毎年雪をみて不思議だなあって思って確かめよう

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