君たちはどう生きるかをみた

金曜日に見てきました。現代美術の企画個展みたいな作りの映画で楽しかった。これは吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』のアンサー映画だと思う。

一部では宮崎駿の集大成などと誇張しているがそれは正しくない。集大成ではないがそれよりも良いものであるというのが私の感想です。
メーテルリンクの「青い鳥」をサギに置き換えたような進行で物語は進む。戯曲のような心象をつなぎ合わせたような作りである。
これはなぜかといえば吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」に対する、私はこう生きたぞというアンサーだからである。
新海誠に影響でもうけたんか?と思いたくもなるし、黒澤明の『夢』のような作りだ。

だから集大成というにはチャチな作りですべての表現が今までの映画の下位互換のように受け止められて自然である。
つまり、これまでの作品を彷彿とさせる各シーンはセルフオマージュではなく、ただの素描、デッサンというのが正しい。
あれは、小さい頃の宮崎駿がこう生きようと考えていたと、その現れと考えることができる。

最後の結末で、石を持ってきてしまった主人公は、ある意味子供のまま大きくなってしまった宮崎駿を指しているといってよい。
振り返れば自身の作品のエッセンスが人生のそこかしこにあったと。そういう意味である。
さて、ここまで読めば理由はともかく、僕がアンサー映画だと主張したいことがわかると思うが(笑)、この映画見て我々に宮崎駿が迫る回答は『お前らは何を考えてどう生きるつもりなのか?』ということである。

今回、宮崎駿が提示するメッセージはとてもわかりやすい。石を持って帰ってこいという話だ。今抱えているエッセンスを忘れないでというメッセージ。

ちなみに、公開直後の監督のインタビューはいつも嘘ばかりなので気にしてはいけない。

あ、そうだ。たぶん、あの映画には今までの作品になっていない未発表のエッセンスが巧妙に隠されているのでそれを探しながら見ると面白そう。

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