祖母のこと

祖母のことを思い出した。

祖母には、バイブルのように大事に持ち歩いてる本があった。革張りのそれは外側は傷だらけだが、本を開くと今でも新品のようだろう。今でも実家に大切にしてある。僕が小学生の時分に他界したのだが、家族で一報を受けたのは僕だった。知らない親戚の存在にびっくりしつつ親を呼んだ。私の中で、祖母の思い出は2つしか無い。

ひとつは飴玉をよくくれたこと。
ひとつは学校に授業で暑中見舞いを出した時のこと。

直ぐに返事は帰ってきた。僕は祖母の文字を見るのが初めてだと思ったらどうやら代筆のようだった。祖母はカタカナしか読み書きできなかったらしい。

祖母がその本を持ち歩いていた理由はわからなくってしまっているが、祖母は本を開いて知り合いに読んでほしいとよく頼んだそうだ。
あとになってわかることだったが、祖母は賢い女性だったに違いない。自分の限界を見つめながら諦めなかった。代筆で手紙を出す祖母の気持ちはまだまだよくわからない。
本を思い出すと、少しは切なくはなるが、寂しい気持ちよりも尊敬の念を感じたい。

祖母に返事は何もできなかったけれど、私が大学で学んでいる姿を、今も見つめてくださっていると信じつつ。

自己の確認と祖母の自慢に。