コンテナは画材のコンテが雑然と積まれているように見える。
雲はただのレイヤーのように動いていて、隙間に見える海は粘土細工だった。
窓際に一人で座ったのはいつぶりだろう、東京の戻る飛行機の中で僕の窓からはつやつやの海が見えた。
この海をなんていえばいいんだろう。飛行機から見ると海はびっくりするほど表情を変えない。固まったまま波はただの模様のようにして見える。絨毯のような海を見下ろして機内食を食べた。
離陸の際に写真を撮ったけれど、窓の水滴からフォーカスが動かなくて水滴の写真になってしまった。
飛行機の上からはインターネットから切り離されて、水滴だけが動いている空間になっていた。
僕は一人で乗る飛行機が好きみたいだ。
映画館も新幹線もいいけれど、飛行機のほうが非日常感があっていい。
それと、海外のキャリアの飛行機のほうが座席が広くていい。
どうしても逃げたくなったらまた飛行機に乗って海外に行こう。散歩をするだけでいい。
少しだけ話せる英語も話せないふりをして誰も知らない街で何もできない街を歩いて気分転換をしよう。
よくわからない食べ物とよくわからない飲み物を胃に入れてどんどん歩こう。
いつか、粘土のような海の上にも、まだ見ぬ砂漠にもいこう。