早朝、星を見た。
満月だったし満点の星空というわけじゃなかったからか、落ちていきそうな点々を見つめて色々考えた。
わがままだとか、自分勝手だとか、そんなふうなこと言われるけれどそんな事の何が悪いんだとか。
アイツ、ウザかったなとか。
色々反省しなきゃいけない自分のこととか。
最近は友達と星を見ることが多くて、でも元々星を見るときは一人で見ていたから、楽しかったり騒がしかったりいろいろ。遠くで動物の声が聞こえるような静かな夜に誰かの声がクッキリ聞こえる。
穴の奥のまだ見えない底の方でかすかな灯りがいくつか流れた。知らない南半球の流星群が極大らしい。まだまだ知らないことがたくさんある。
知らないことだらけの天球をみつめる。でも自分のこともよくわからない。赤ちゃんの頃のように天球の星空と自分が区別できなくなって星に溶けていく感覚になる。でも溶け合ったはずの星たちに突然拒絶される。君はここまで来れないじゃないかー。そんなことを繰り返してずっと見つめていると1時間があっという間に過ぎる。急に友達の声が耳に響いていることに気がつく。
前にも書いたけど、白鳥の追いかけをしている人のことを思い出した。彼は『どういうわけか、心が白鳥の形をしていた』と形容していた。すごく詩的で素敵な言葉だと思ったけれど、『どういうわけか』にすごく共感した。僕もそうだと思う。どういうわけか、どうしようもなく星の形になってしまっている。
父が僕なら夜空から何か発見できるかもしれないと言っていた。昔、宇宙飛行士になりたかったけど、それは諦めてしまった。空にある大穴の中に入って誰もみたことのない風景を見て持ち帰りたいけれどそれはできないんだろうなあという拒絶感。星の王子さまや銀河鉄道の夜の世界が本当にあったら良いのにと思いながら、一方で星の形をした自分がそうなんじゃないかと思う。
夜がずっと続いて、自分もずっと天球の一部だったら良いのにと思うけれど、それは叶わない。でも叶わないからまた食い入るようにみつめてしまう。
そんなことが確かにあった、今朝のこと。